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<与党への批判と称賛>水際対策

 新型コロナウイルスが発生してから1年が過ぎたが、未だ収まる気配が感じられない。そんな中、政府の水際対策が物議を醸している。

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  そもそも、水際対策はなぜ行われるのか。主な理由としては①国内へのウイルス持ち込み阻止、②ウイルスの変異種持ち込み阻止の2つである。しかし現時点で日本国内では新型コロナウイルスが蔓延しており、変異種の感染例も確認されているため、水際対策は失敗したとみることができる。さらにあまり報道されていないが、2020年10月には入国制限を緩和したためその月には2.8万人、翌月には5.7万人もの外国人が訪日している。

 

<与党への称賛>

 入国制限の緩和はなぜ行われたのだろうか。理由としては海外との取引や経済の活性化があげられる。日本政府観光局によると、2020年4月から8月まで訪日外国人が1万人を超えることはなかった。前年2019年の月平均訪日外国人の数が265万人なので、99%以上の訪日外国人が減少したことになる。同じく日本政府観光局によると、2019年の訪日外国人による消費額は4兆8千億円に登る。これを12で割ると400億円となり、これは2019年の月平均訪日外国人による消費額である。400億円の1%は4億円に当たる。つまり、2020年の月平均訪日外国人消費額は4億円未満と試算できる。入国制限がなければ得られた収入が99%無くなったわけである。そのため政府も入国制限を緩和せざるを得なかった。国内の経済を支えるための入国緩和措置は評価できる。

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<政府への批判>

 入国緩和を行なった政府だが、入国した訪日外国人は2020年11月は5.7万人にとどまっている。消費が大幅に拡大できる人数とは考えられない。また、国内消費と引き換えに変異種の持ち込みというリスクを抱えているのである。変異種が持ち込まれることによる感染者数、死者数の変異や変異種による経済への影響などを全て試算した上で、それでも入国緩和することによるメリットが大きいのであれば実行すべきである。しかし、政府からそのような情報はない。事実として、国内では新型コロナウイルスの変異種が蔓延することになった。このグローバル化が進んだ世界の中で、変異種の蔓延は阻止できなかっただろう。しかし、極力変異種保菌者の入国を制限しワクチンが完成するまで待つこともできただろう。入国緩和は政府の無鉄砲な政策と言わざるを得ない。

 また、当初入国した外国人に対する検査も行われているかはっきりせず、MySOSというビデオ通話アプリによる位置情報確認と体調確認システムも上手くいっていない。これらは予想できた事態である。

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<まとめ>

 経済が逼迫している中で入国制限を緩和したことは評価できる。しかし変異種の蔓延の時間を短くしてしまっており、また検査設備も不十分だった。一連の水際対策は失敗だったとみるべきだ。(西園寺康平)