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"Fear Criticize Praise News"

<与党への批判>投票率

 衆院選が今週末に行われる。注目したいのが投票率である。世界でも異例の低さを記録している日本の投票率であるが、今回はその投票率について与党への批判を踏まえてまとめる。

 

<日本と世界の比較>

 国・地域別の議会選挙投票率を調べると、1位はベトナムの99.26%、2位はラオスの97.94%、3位はシンガポールの95.81%である。対する日本は139位の53.66%と有権者の約半数しか選挙権を行使しないのである。G7参加国の投票率はどうだろうか。G7の中で最も高い投票率を記録しているのがドイツの76.15%である。アメリカは129位で56.84%と日本とさほど変わらない。(ベトナムに関しては代理投票が認められているためここまでの投票率の高さが出ている。組織票が生まれやすいという欠点がある。)

news.yahoo.co.jp

 

<選挙の歴史>

 選挙権は元々身分の高い人々の特権として認められていた。15世紀のイギリスを例に挙げると、当時選挙権を与えられていたのはジェントリと呼ばれる地主階級の人間のみに与えらており、全人口のわずか3%にしか与えられていなかった。ブルジョワジーと呼ばれる新興資産家を初めとするイギリス市民が選挙への参加を訴えかけ、産業革命後に5回の選挙改革の末一般市民にも選挙権が与えられることになった。しかし、現在はどうであろうか。先祖の努力の結晶である選挙権を自ら捨てている状況である。

 

投票率

 投票率は高い方が民意がより議会に反映されるため、政府は投票率の上昇を積極的に行うべきであるが、今の日本政府からはその努力が感じられない。若者からは、投票自体が面倒だという声が聞こえる。理解できる意見である。投票所の数が少なく、投票所に行っても手書きによる投票である。面倒と思ってしまっても無理はない。投票の仕組みが現在の状況に適合していないのである。投票の信頼性の問題にも発展する可能性があるが、ネット投票などの時代にあった政策を政府には要請したい。

 選挙権とある以上、それは権利であり義務化するべきではないだろう。そうであれば投票に行くための動機を与えるべきである。例えば、投票に行ってから次の投票までの大学授業料2割免除、所得税1割控除などという制度を作ることで若者や社会人の投票率も向上するのではないだろうか。

 日本の政治への忌避感も影響している。日本では政治への発言が咎められやすい。有名人による政治的な発言は匿名による非難の対象になってきた。このような社会を変えることも必要である。

 

<まとめ>

 政権にとっても投票率が高いことはメリットである。多くの国民から支持を得られたという自信を持って政権運営をすることができるからである。残念ながら、投票率が上がったところで野党の支持率が急激に上がることはないと言える。とすると、与党としては国民の大多数から支持を得ながら政権運営ができるのである。人類史において選挙権獲得に尽力した人々がいたことを忘れてはいけない。(西園寺康平)